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「片手片足女子」の友人ができました。

2月 18, 2019

少し刺激的なタイトルでスミマセン。でもこれが、『「肢体不自由者」の友人ができました。』というタイトルだった場合、どうでしょうか?イマイチ伝わりませんよね?少なくともそれらの知識が少ない僕にはピンときません。

ここ最近「Universal MaaS」を掲げてユニバーサルデザインやMaaS(Mobility as a Service)を研究し始めてから、お陰さまで色んな方々とお会いする機会が増えたのですが、後者のような自己紹介の場面に遭遇することが多くなり、初めて聞くような言葉が出てくる度にググって(検索エンジンで検索して)います。できれば、自己紹介中にググってスマホ画面と向き合うのではなく、もっとその人の中身、内面などについて聞き出すことに専念したいです。

これらの自己紹介は、あくまでもその人それぞれの身体的特徴を、身体障害者福祉法や学校教育法等に照らし合わせて表現しただけで、その人の一面にしか過ぎません(個人的にはもっと内面を知りたい!)。もちろん、行動を共にする時には、状況に応じて的確なサポートを行うために、これらの身体的特徴は知っておかなければならない重要事項です。しかし、初対面で、かつ一番最初の会話で、このような専門的用語で言われても、大抵の方々はピンとこないと思います(本来であれば知っておかなければならない事項なのでしょうが)。

もし、身体的特徴を伝える必要がある場合は、例えば「片手片足女子」とか、「五体不満足」とか、聞いたら直ぐにイメージできるような表現が良いです。もし気分を害した方がいらっしゃったら、それは価値観の違いからくるものだと思いますので申し訳ありません。ちなみに「片手片足女子」という表現は、普段からご自身の自己紹介で使われているようです。さすがに当初は僕も戸惑いましたが、今ではこの表現の方が親しみやすくて良いなと思います(^_^)

僕が言いたいのは、繰り返しになりますが「その人それぞれの中身、内面をもっと知りたい!」ということです。いわゆる「健常者」の方々が、「障害」を持っている方(「健常者」「障害者」の定義はWikipedia参照)との接し方がわからない、どのように接するのが良いのかわからない、と仰っているのをよく耳にします。もしかしたらこの「難しい障害者手帳用語」が、普段のコミュニケーションの場でも使われてしまっていることか、双方のコミュニケーションの「壁」を生んでしまっているのかもしれません。

「もっとわかりやすく表現してもいいじゃないか!!だって相手の身体や事情だけじゃなく、その人そのものを知りたいんだから!!」って思っちゃいます。

ここで一つ、タイトルにもある「片手片足女子」さんから聞いたエピソードをご紹介します。近い将来、結婚を控えているそうで、その婚約者「仙人カトー君」との初デートのお話です(ご本人承諾済み、原文ママ)。

カトー君と私がはじめて2人で会ったときの話です。

ちょっとした商店街を歩いていると、コーヒーの匂いがしてきたんです。
カトー君はそのいい匂いがどこから出ているのかわからなかった。
どこの店なのか、そもそも「店」なのか、
そもそもどこの店が何を売っているのかわからない。
「だから、コンビニや、カフェならドトールとか、ハッキリとわかる大手チェーン店でないと入れないんだ。」
と、そのときカトー君は言いました。
私にはそれは衝撃でした。
(注釈:カトー君は弱視[重度視覚障害者、全盲の手前の状態]だそうです)

それから、私はカトー君をいっぱいいろんなところに連れて行こうと思ったんです。
店や街だけではない。
カトー君はポスターや車内広告も読めないから、どんなところでどんなイベントがあるかわからない。
だから日本武道館に行ってみたことがなかった。
博物館もライブハウスも経験がない。
雑誌に怪しい袋とじがあることも、彼は知らなかった。
グラビアの若くてかわいいアイドルとか興味を惹かれない。
そもそも顔が見えない。
映画は日本映画でないと、洋画は吹き替えでないとダメ。
字幕が読めない。
毎日通勤する品川駅にEcuteがあるのを知らなかった。
新発売の商品のキャンペーン広告もわからない、それが店のどこにあるかさえわからない。
だから新しいものは試せない、だから買わない……。
情報弱者って、障害ってこういうことかと思う。
生活のすべてに及ぶ。
そもそも視野に入っていないものは、存在にすら気づかないんです。
それが私には絶望的にリアルだから、こんな面白くて本当なら好奇心旺盛な人が、世間に知らないことが多いのはもったいないと思ったから、テレビの番組のテロップ、電車の車内広告、ホームの小さなマーク、
博物館の作品解説、細かく私は彼に読みます。
雑誌だって買ってくるし、旅行も連れて行く。
いろんなところへ、いろんな経験へ、そう思ってるんです。
本人は産まれたときからこういう環境だからあんまり気にしていないし、新しいところへ行く緊張や注意深く目を使うことが多いのは疲れちゃうので、別にそれでいい、慣れたもの・人・場所だけでいい、そういう程度だと思うんですけど、私の気持ちがわかるからどこへも引っ張られて行く(→結果楽しいみたい)。
彼を外に引っ張り出すのはこの私の怨念(笑)
カトー君はこれからもずっと外出ばっかり、旅と移動ばっかり、毎日新しいことに挑戦するばっかりでしょうね。

ヤバい!泣けてきました!(感動の涙&これからヤルぞ!!という興奮の涙)

上記を世界中に伝えたい。僕だけが聴いているだけじゃもったいない。メール等の閉じた世界に留めているのがもったいない。どんな映画やドラマよりも心を動かすぞ!心だけではなく行動(移動)も!!

ということで、取り急ぎブログに書いてみました。あくまでも『「移動」の概念を変えて、誰もが自由に移動できる社会を創る!』ためです(最近は「Universal MaaS」の考え方も取り入れています)。

今回はここまで!

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